
酒・彩・ストーリー
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お酒も同様のことが言えませんか? |
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まずワインは色の違いから3つに分けられます。
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赤ワインでは、原料のブドウの皮が黒色系や赤色系のもので作られます。それをブドウの房ごとつぶして、皮なども一緒にして発酵させます。つまり、ブドウの皮の色素ができあがりのワインに反映されてきます。
それに対して白ワインは原料となるブドウの皮は緑色系のものもありますが、赤色系のものもあります。白ワインは果汁のみを発酵して作ります。そのため、ブドウの皮の色はあまり関係ありません。
ロゼワインの場合は、赤ワインを作る工程で皮や種を取り除く方法や果皮の色のうすいブドウを用いて、赤ワインと同様にして製造する方法、赤と白の両方のワインを配合してつくる方法があります。
ブドウの果皮の赤や黒の色素はアントシアニンとよばれるもの。
品種によって異なりますが、数種類から10種類のアントシアニン色素を含んでいるそうです。
アントシアニンは生のイチゴ、ナスなどにも含まれるあの鮮やかな色素。大きなくくりで言うと、「フレンチパラドックス」の立役者、ポリフェノール類の仲間になります。
(「フレンチパラドックス」とは、乳脂肪の摂取が多いにも関わらず、ワインの消費量が多いフランスでは心疾患による死亡率が低いというもの。ワインの原料のブドウに含まれるポリフェノールがその予防効果を持つことがわかった、というもの)
ワインブームの頃、特にご年輩の方が健康に良いということでワインをよくお買い求めに来られました。注がれた白ワインを指差して「これは赤ワインですか?」とお尋ねになられる方も・・・。残念ながら、白ワインは色素がほとんど入りませんので、健康効果は赤ワインに比べるとぐっと少ないと思われます。
このワインの色ですが、熟成、品種、産地の影響を受けます。
赤ワインは熟成するに従って紫色がかったものから赤色、そして徐々に茶色を帯びてきます。
熟成するにしたがってアントシアニンは他の成分と結合するため、減少します。けれども、その色が安定な水溶性の色素であるため、ワインの赤い色はそれほど低下せずに保たれるのだそうです。
白ワインは緑色を帯びているものが黄色、そして褐色へと変化していきます。
もちろん、原料のブドウの品種によっても色合いが変わりますし、変化がわかりにくいものもありますので、一般的な目安と考えていただければと思います。
色の濃淡は産地やブドウの収穫年によります。
赤ワインは太陽光線の強いところでは濃い色をしています。イタリアや南仏、スペインなどはその代表です。
同じ産地でも、収穫した年、雨が少なく、好天が続くと濃い色になります。
白ワインはあまり差が出ません。デザートワインと言われる物は糖分やエキス分を多く含むため、濃い黄色をしています。
11月に解禁になったボジョレーヌーボーは明るい紫色をしていますし、フランスのボルドー地方の5~6年の比較的若い赤ワインは鮮やかな赤い色をしています。
同じ年数のものでもブルゴーニュ地方の赤ワインは色が薄い赤い色をしています。「ルビー色」「ガーネット色」などと宝石に例えた表現を使うことがあります。とても華やかなイメージがありますよね。「ルビー色」は若いボルドー地方のワインなどがあてはまると思いますし、イタリアワインなどは「ガーネット色」に例えることが多いようです。
白ワインでは若いシャブリでは緑色のニュアンスがありますし、熟成すると黄金色になります。
色で品種や産地の特徴を覚えると、良いワインでない(保存状態が良くない)ときの見極めができるようになります。また瓶の色にもよりますが、ワインを購入するときにボトルを傾けて液面の色を見ることにより、飲み頃か判断できるようにもなります(ほぼ、店頭に並んでいる物は飲み頃のワインと考えて良いのですが)。 |
さて、いろいろワインの色について見てきましたが、ワインも長い年月を経るとボルドー地方もブルゴーニュ地方も、赤も白もわからなくなるほど褐色になると聞いたことがあります(残念ながら私はそのような古いワインにお目にかかったことはありませんが・・・)。
前回、ワインの色と料理の色を合わせると良い、という話(Story2:「お酒と料理のハーモニー」はこちら)を載せましたが、赤ワインでもいろいろな赤色がありますので、お料理もそれに合わせて調味料を工夫してみてください。
一口にワインと言っても単純に「ワイン色」ではありません。色にもワインの個性が表れます。ワインをいただく前に、ひと呼吸、まずはその外観をよく観察してみてはいかがでしょうか。
参考:
・「食品と色」 片山脩 田島眞 共著 光琳選書
・「食品色彩の化学」 斉藤進 編著 幸書房
・「食品の変色の科学」 木村進 中村敏郎 加藤博通 編著 光琳テクノブックス
・「ワインの教室」 イカロスMOOK